第1章 友達
それでも彼は黙って聞いていた。
しかつめらしく私の眼の中を覗き込むような表情で、
話の真偽を判じているようだった。
私が語り終えて、彼が話をかみ砕き、飲み込む間には、それなりの長さの間があった。
「わかった」
彼は短くいった。
憂いざまに伏したまつ毛の長いこと。
「見えるように、努力はする。
そんで見えたら、お前にちゃんと教える」
私はこっくりと頷いた。
そうしてお互い、雨水でぐずぐずになった靴を脱ぐと、
裸足で元来た畦道をのろのろ歩いて戻った。
小石を踏むたび、互いの足の心配をした。