• テキストサイズ

おにとゆうだち

第2章 夕立


眺めながら、私も近況を話した。

 これからある夏の大会のこと。高校受験に向けての勉強のこと。
 友達とのトラブルのこと。親と初めて怒鳴りあうような喧嘩をしたこと。これはかなり揉めた。

 色々ありすぎて少し疲れた、と愚痴をこぼすと、
 彼は思いついたようにこう言った。

「じゃあ、どこか行くか」

 提案した後で、「一緒に」と小さく付け加える。

「行くかって、何処に」

 沈黙が下りる。
 雨の音だけが柔らかい。

「わからない」

 行列は、未だ続いている。
/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp