第18章 言いたかった言葉
その頃、流川は公園のバスケゴールにシュートを打っていた。
ボールがリングに当たり、シュートは外れた。
『チッ…』
『楓くん』
声のする方を見ると、そこに渚がいた。
『渚、なんでここに』
渚は三井先輩とバスケの練習をしていたはずだ。
『今日は中止にしてもらったんだ』
『ふーん…』
『これ、買ってきたんだ、一緒に食べない?』
そう言って渚が差し出したのは、
商店街で買ってきたであろうコロッケだった。
『…』
流川はそれを無言で受け取り、一口食べる。
『…んまい』
『でしょ?私、ここの
かぼちゃコロッケ好きなんだ~』
あぁ、これだ、この感じ。
上手く説明出来ない、心地良いこの感じ。
この笑顔は間違いなく、俺だけに向けられている。
『楓くん、疲れてる?』
渚が唐突に流川に問いかける。
『…別に』
『無理しないでねー、疲れたらいつでも
言ってねー、マッサージするよー』
そう言うと渚は流川の後ろに回り、肩を揉もうとする。
こんな心配性なところも全然変わってない。
『んー…届かないー…!』
頑張って背伸びをするが、流川の身長が高すぎる為、
上手く肩もみが出来ないようだった。
そんな渚の様子を見て、思わず笑みが零れる流川。
『…フッ』
流川はこの時、確信した。
――俺は渚のことが好きなんだ。
それがloveなのかlikeなのかはわからない。
でも、好意を抱いているというのは確かだ。