第4章 約束。
「お母さんに言ってくるね!」
そう言うと葵はスキップするように足取り軽やかに
部屋から出て行った。
葵のいなくなった部屋で琴乃は一つ溜息をついた。
シーンとした空気が流れる。
"ウー…ウー…ウー…"
微かに男の人のうめき声のようなものが聞こえる。
先ほどまでは全然気付かなかったけど…。
もう少しよく耳をすませてみる。
"ウー…ウー…ウー…"
どうやらその声は隣の部屋から聞こえているようだった。
隣の部屋に誰か居るのかな?
TVとか見てるのかな…?
少しだけ気になって、
琴乃は声のする方の壁に耳を当ててみた。
"ウー…ウーヒヒヒヒ…ウーヒヒヒヒ…ヒャヒャヒャヒャ"
ぞっとして壁から耳を離した。
その部屋からは不気味な笑い声のようなものが聞こえた。
…聞かなかった事にしよう。
琴乃はあわてて元の位置に戻ろうと
振り返った。
『っひ!!!???』
「琴乃ちゃん。なにやってるの?」
そこには不気味なほど無表情な葵が立っていた。