第4章 約束。
葵に手を引かれながら、
琴乃は複雑な住宅街を進んでいく。
「でもびっくりしたよー。あんな所に琴乃ちゃんが居るなんてー。あ、具合はもう大丈夫?」
葵は泣いている琴乃を気遣ってか、
ずっと話しかけてくれた。
そういえば、葵の家行くの初めてだな。
この住宅街も始めて来た。
複雑でずっと同じところを歩いているみたい。
しばらく似たような並びの家を抜けると、
赤い屋根のお世辞にもキレイとは言えない家の前で
葵は止まった。
「ごめんね、ちょっと狭いけど…」
そういうと葵は家の門を開けた。
他の家は庭まできれいに整えられているのに
葵の家だけは庭は荒れ放題に荒れていた。
「…。」
琴乃は葵に手を引かれるまま家の中へと足を踏み入れた。