第2章 憎悪。
普通の美味しいシチューだった。
やっぱり勘違いだったんだ。
大丈夫。
琴乃はそう言い聞かせてシチューを口に運び続けた。
"ザリッ"
今までなかった食感のものを噛み潰した。
それと同時にどことなく苦い味が口に広がった。
体がビクっとなり、
変な冷や汗が出た。
大丈夫。
なんでもない。
なんでもない。
琴乃はゆっくりとそれを口から出した。
「ぎゃっ!!!!!」
思わず叫び声を上げた。
琴乃の手に乗っていたのは
琴乃によって噛み潰された小さなダンゴ虫だった。
母が琴乃の手の平を覗き込む。
「あらあら~?お料理作ってる時に入っちゃったのかしら?ごめんね?琴乃ちゃん。」
母はニコニコと笑ったままそういった。