第1章 小さなきっかけ。
「琴乃ちゃん起きてぇー!ご飯よぉー!」
母の声で重たい目をゆっくりと開け、
体をゆっくりと起こす。
枕もとの携帯電話を取ると、
時刻は午前7時丁度であった。
琴乃はゆっくりとベットから出ると、
いつものように身支度をし、
キッチンへと向かう。
キッチンでは母がせっせと朝ごはんの準備をしている。
父は疲れきった顔でぼーっとテレビを眺めながら
コーヒーをすすっている。
「おはよ。」
「おはよぉ!」
「おはよう。」
琴乃の挨拶に二人が反応する。
琴乃はいつもの通り、
自分の席に腰掛ける。
「はーい!今日は朝から元気が出るようにお野菜のスープよぉー♪」
母はいつもの笑顔で琴乃の前にスープを出す。
「いただきまーす。」
琴乃が食べるのを母は嬉しそうにニコニコと見つめる。
なんだか少しだけ変わった味がした。
何かスパイスでも入っているのだろうか?
母はたまに変わったスパイスを使う。
でも、決して嫌いではなかった。