第7章 Rainy Day*黒子*
テツくんは私の額に手を当ててくれた。
白くて綺麗なのに、骨張っている男の子の手。
「…テツくんの手、冷たくて気持ちいい。」
「そうですか?こうしてると、少しでも和らぐかと思って。」
どうしてだろう?
テツくんが側にいてくれるだけで、穏やかな気持ちになっていく。
あれだけ苦しめられた痛みも少しずつ引いていくように感じた。
「名前、ボクは実は雨って結構好きなんです。」
「どうして?」
「雨の音で雑音がなくなって、静かな空気になります。雨の匂いなんかも好きです。」
空いた片手で私の髪を撫でながら、ぽつりぽつりと話してくれた。
「…頭痛おさまってきたかも。」
「良かったです。少し眠りますか?ろくに寝てないでしょう。」
うん、と頷くと、テツくんは私を抱き上げてベッドに寝かせてくれた。
「私が寝るまで一緒にいてくれる?」
そう尋ねると、私の手をきゅっと握って、
「寝るまでとは言わず、これからずっと一緒ですよ。」
テツくんは、優しくふわりと微笑んだ。
恥ずかしくて、でも嬉しくて私もついつい笑顔になる。
「…テツくん、ありがとう。大好き。」
「…ボクもですよ。…おやすみなさい。」