第46章 9月11日*小金井*
「終わらない……。」
目の前には大量のアンケート。
うっかり集計なんて頼まれてしまって、気付けばとっくに時計の短針は7の数字を過ぎていた。
私っていつもこう。
絶対何をやってもうまくいかないし、要領も良くない。
「何時までかかるかな……。」
うんうん唸りながら山積みのプリントと格闘する。
すると、誰かがぱたぱたと走ってくる音が聞こえた。
この時間だし、部活やってた子かな。
だんだん足音が近づいてきて、勢いよく教室のドアが開いた。
「あれ!?苗字じゃん!」
現われたのはバスケ部のクラスメイト。
クラスのムードメーカー的存在の彼。
「小金井くん!そっか…。バスケ部終わったんだね。どうしたの?」
「ん?忘れ物取りに来たんだよ。ところで何してんの?もう7時過ぎてるよ?」
小金井くんは私の机を覗き込む。
「実は委員会のアンケートの集計頼まれちゃって…。」
「じゃあ俺手伝うよ!二人でやった方が絶対早いよ!」
突然の彼の言葉に驚いて少しの間言葉が出なかった。
「…え!?いいの?部活で疲れてるでしょ?」
「いいのいいの!こんな時間に女の子一人で帰るのも危ないしね。」
すると、彼は私の向かいの席に座り、てきぱきと要領よくアンケートをまとめていく。
さっきまでが嘘のように、あっという間に集計が終わった。
「ありがとう小金井くん!」
「全然いいって!じゃ、帰ろうぜー!」