第41章 待ち遠しかった日常*火神*
「あー…学校始まっちまったな。バスケやる時間が減る…。ベンキョー嫌だし…。」
大我はげんなりした様子で、しかめっ面をしている。
「私は待ち遠しかったんだけどなぁ、新学期。」
同じ気持ちじゃなかったことが少し残念で、思わず足を止めた。
「名前?」
彼は振り返って私の方を見た。
私は彼に近付いて、大きな手にそっと触れた。
「…だって、毎日大我と一緒にいられるから。」
口にしたら何だかとても恥ずかしくなってしまった。
彼の顔が見れなくて、赤くなった顔を隠すように俯いた。
すると、彼は私よりも少しだけ前を歩き始めた。
「大我?」
そのまま歩き出した彼を見て呼び掛けた。
「…今俺の顔見るな。」
「なんで?」
「あんなこと言われたら照れるだろーが!」
耳まで真っ赤になっているのが可愛くて。
思わずその広くて逞しい背中に飛び付いて顔を埋めた。
「…えへへっ!」
見上げると、顔を赤らめて、でも優しく微笑んでくれる彼がいた。
「…帰んぞ。」
彼は私の頭にポンポンと軽く手を置き、私の指に自分の指を絡めた。
「うん!」
別れ際に彼が言った一言が、私の鼓動をまた速くさせた。
「…俺だって今日お前に会えて嬉しかった。」