第36章 木陰の下で*日向*
そんなこと全く気にしていなかった。
むしろ順平がそんなことを気にしていたことに驚いた。
「全然気にしてなかった…。結局毎日部活で一緒にいられたし、それだけでも充分。」
「出来た彼女で有り難いもんだな。」
「今みたいに迷惑ばっかかけて、全然出来てないよ?」
「これは迷惑じゃなくて心配だろ。俺にとっては充分。」
褒められるのが嬉しくて、思わずにやついてしまう。
彼の脚や手のひらから伝わる温もりが、思わず瞳を微睡ませる。
「んー…、寝ちゃいそう…。」
「寝たほうが逆に楽になるんじゃねぇか?寝ちまえ寝ちまえ。」
ぽんぽんと背中を叩いてくれるリズムが私を現実から遠ざけていく。
「すー…すー……。」
「名前?…本当に寝たか。仕方ねぇな…。よっと!」
次に気が付く時は、私は宿の部屋の布団の中。
出来れば彼が抱きかかえて運んでくれるのを起きてみてたかったな。