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黒子のバスケ*Short Stories

第34章 キスまでの距離*紫原*


咄嗟に口から出た言葉に、敦も、そして私自身も驚いた。

顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。

「名前ちん。」

彼は私の左頬に大きな手を当て、顔をゆっくりと近付けてきた。

彼との距離はいつも彼が屈んでくれる時もずっと近かった。

そして彼はまるで氷室先輩のキスを消すかのように右頬に唇をつけた。

私の右頬は氷室先輩の時よりも熱を帯びていた。

「オレだってしたかったし。」

そう言うと、彼は私の顎を持ち上げた。

彼の吐息を感じて心臓の音が加速している。

目を閉じると、唇に優しく熱く甘いぬくもりを感じた。

何度も、何度も、まるでお菓子を啄むように。

敦は私に口づけをした。

「名前ちんにやだって言われるのが嫌だったから我慢してたの。…オレもう我慢しなくていい?」

そんな風に真っ直ぐ見つめられたら「やだ」なんて言えないじゃない。

「お手柔らかに…お願いします。」


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