第34章 キスまでの距離*紫原*
昼休みの渡り廊下にて。
私の目の前には目元の泣きぼくろが素敵な部活の先輩。
女の子達がチラチラとこちらを見てくるのがわかる。
「なるほどね…。ふふっ。本当にアツシらしいね。」
「氷室先輩…。笑い事じゃないんですよ!切実に悩んでるんです!」
氷室先輩に恋してる女子の皆さん、安心してください。
まさか私と先輩が付き合っているとかはないですから!
私の彼は先輩が「アツシ」と呼ぶ男の子。
2mを超える身長に最初は圧倒されていたけど、色んなギャップが私の心を動かした。
いっつもお菓子をモグモグ食べている可愛らしさ。
面倒くさがりなのに、「負けるのはやだ」って言って練習は人一倍頑張るところ。
私と話す時、必ず少し屈んで目線を合わせて話してくれる優しさ。
「好き」と気付いてまもなく、彼から「オレ名前ちんのこと、好きなんだけどー。」と突然告げられた。
ちょっと子どもみたいだけど、可愛くて格好いい彼が大好き。
だけど、最近気になることがあった。