第33章 駆け引きなんていらない*今吉*
「俺さ、苗字のことずっと好きだったんだ。付き合ってほしい。」
屋上に呼び出され、突然の告白。
ただ相手は私がずっと恋い焦がれてきた彼じゃない。
同じクラスで比較的仲が良い男子。
もちろん好意を寄せられているのは嬉しい。
ただ、自分が同じ気持ちではない相手から告白されることが、こんなにも苦しいなんて知らなかった。
「…ごめんね。私、他に好きな人いるんだ。」
「そっ…か。わかった。…困らせてごめんな。でも俺しばらくは諦められないから。何かあったら言って。」
彼は気持ちを押し殺すように作り笑いを浮かべ、去っていった。
彼の気持ちに応えられなかった罪悪感。
私、ずっと今吉先輩にこんな思いさせてたの?
いつも私の告白を笑顔で交わすから気付かなかった。
諦めないことで先輩を苦しめているのかもしれない。
次の告白で気持ちにけじめを付けよう。