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黒子のバスケ*Short Stories

第29章 図書室にて。/黒子*緑間


部活の時はジャージ姿で髪は一つにくくったポニーテール。

今日はセーラー服で長い髪を下ろしている。

後ろ姿だったとはいえ、別人のように感じてしまったのだ。

特に体育館ではない場所が逆に新鮮に思えた。

「苗字はよく図書館に来るのか?」

「テスト前くらいかな。勉強してるうちに飽きてきたりつまらなくなってくるから、合間に読める面白そうな本を借りようかと思って。」

「成程な。俺もたまにここに来る。最近は高尾が騒々しくて、本がまともに読めないのだよ。」

「でも…緑間くんは高尾くんといる時楽しそうだけどね。感情的にもなるし気を遣わない相手なんだね。」

彼女はよく部員たちのことが見えている。

身体的にも精神的にも細かに気を配り、何事にも人事を尽くす彼女を人として認めている。

だが 実際こうして二人でゆっくり話したことはなく、部活中ではない時間が逆に俺を不思議な気持ちにしたのかもしれない。

「同じ部活のマネージャー」であった彼女が、「何故か気になる存在」に変わったのはすぐだった。

「早くテストが終わってほしいのだよ。」

「そうだね。早くバスケやりたいでしょ?」

「…それもあるが、今のままではお前に中々会えないのだよ。」
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