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黒子のバスケ*Short Stories

第29章 図書室にて。/黒子*緑間


<黒子>

毎週水曜日の昼休み。

委員の当番でカウンターに座っている。

大体来るのは同じ人で、静かに読書を楽しみたいと思って来ているみたいだ。

ある日、見慣れない女の子がやって来た。

図書室自体使い慣れていないようで、棚の間をさまよっている。

あまりに困った表情を浮かべているので、思わず声をかけてしまった。

「あの…何かお手伝い出来ることありますか?」

すると、彼女は不思議なことにすぐに僕の姿を捉えた。

「あっ…はい。…実は読書感想文の宿題があって、本を読まなくちゃいけないんですけど、私普段あまり本を読まないから何がいいのかわからなくて…。」

確かにあらゆる本がたくさん並べられている図書室は、逆に初心者にとっては選ぶのが難しいはず。

「うーん…。じゃあこれとかどうですか?あまり複雑な表現も使われていないですし、高校生が主人公の小説なので物語にも入り込みやすいと思いますよ。」

僕は1冊の小説を手に取り、彼女に薦めた。

「ありがとう!黒子くんのお薦めなら頑張って読めそう!」

彼女が満面の笑みを浮かべたので、僕もつられて微笑んでしまった。

「頑張って読むのではなく、楽しんで読んでいただきたいです。」

そうだね、とふわりと笑う彼女。

ふと一つ彼女の言葉が引っ掛かった。
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