第28章 文化祭②/黄瀬*氷室*赤司
「涼ちゃん、まだ拗ねてるの?」
帰り道。
ぶーっとふくれた俺を見て、名前っちが小首を傾げて尋ねてきた。
「だって…名前っちの王子になりたかったっス。」
仕方ないのはわかっていたが、どうしても納得できなかった。
「うーん…涼ちゃんは私にとっては魔法使いみたいだけどね。」
「え?何でっスか?」
「皆涼ちゃんの魔法にかかって、涼ちゃんが格好よく見えてるんだよ。本当は残念なイケメンなのに!」
「えぇっ!俺は魔法かけてるつもりはないっスよ?…まぁ名前っちがそう言うなら頑張ろうかな。」
昔からそう。
俺が拗ねたり怒ったりしていると、必ず名前っちはこうしてフォローしてくれたり宥めたりしてくれる。
でもね。
俺だって名前っちを支える王子様になりたいんスわ。