第24章 繋ぐ。/赤司*緑間
その日の帰り道。
いつもと変わらず、二人日が落ちた道を並んで歩く。
「真太郎、どうかした?何か眉間に皺寄ってるけど。」
「いや…。何でもないのだよ。」
そっか、と名前は手に持っているカフェオレに口を付けた。
本当は、触れてみたい。
だが、どういうタイミングで触れていいのかわからない。
急に触れられて驚かせないか、嫌だと思われないか。
その時車が猛スピードでこちらに向かってきた。
咄嗟に彼女の手首を掴み、歩道側に寄せた。
「全く危ない運転なのだよ。」
「真太郎、ありがとう。でも、あの…手首痛い…。」
彼女の言葉にふと目をやると、無意識に力を込めて手首を握ってしまっていた。
「あぁ…すまない。」
手を離そうとした時に、彼女の小さな手が目に入り同時に高尾との会話が脳裏を過った。
そっと彼女の手を取り、優しく握った。
少し不安になり、彼女に視線を落とす。
「えへへっ…。真太郎の手、やっぱり大きいね。」
いつもの笑顔とは違う、幸せに満ちた穏やかな笑顔に見えた。
手を繋ぐ。
たったそれだけで、こんなにも暖かい気持ちになれるなんて初めて知った。