第21章 甘える。/紫原*黄瀬*伊月
でも俺も限界。
読んでいた本をぱたんと閉じた。
「俊、本もういいの?」
「名前もうそろそろじゃないの?」
「何が?」
俺を見上げて小首を傾げる。
「構ってほしいなら、ほら…おいで。」
「…う、うんっ!」
ぱあっと明るく笑う彼女が、ぎゅうっと抱きついてきた。
「名前が何度も見てくるからね。」
「えっ!気付いてたの!?…あー、そうだった。またやっちゃった。」
もちろん彼女は俺のイーグルアイのことは知っている。
だけどそれを忘れるくらいに、俺を気遣ってくれる。
「名前、そんなに俺に気を遣わなくていいから。」
「でも俊久しぶりのお休みでしょ?やっぱり好きなことしたいかなとか思っちゃうんだよね。」
「…ありがとう。でも、名前が甘えたいと思った時は遠慮せずにおいで。」
「ふふっ…。ありがと。俊は私をすぐ甘やかすんだから。…でもそういうとこ好きだよ。」
柔らかく微笑む彼女。
当たり前のように隣にいることに感謝しないと。