第20章 Good Luck*緑間*
「緑間くんおはよう!」
「苗字。おはようなのだよ。」
彼はバスケ部の朝練を終えて、私の隣の席に腰かけた。
もちろん机の上にはあぶらとり紙がきちんと置いてある。
「緑間くん…これ、もしまだ持ってなかったら…。」
私は彼にそっと明日の蟹座のラッキーアイテム、つけまつげを差し出した。
「あぁ…!わざわざ持ってきてくれたのか。感謝するのだよ。」
少し口許に笑みが浮かんで、私は自分の胸がきゅんとするのを感じた。
「そうだ。俺もお前に渡そうと思っていたのだよ。」
そう言うと彼は、テーピングが巻かれた長い指からネクタイピンを私に手渡した。
「…!ありがとう!私も明日どうしようかなと思ってたんだ。」
こんな毎日の些細なやり取りがとても嬉しかった。
彼への気持ちはどんどん膨らみ、好奇心は好意へと変わっていった。