第16章 君の願い*赤司*
「もしそうだったら、嬉しいし幸せだなって思う。」
いつもは赤司くんの朱色と琥珀色の瞳は美しすぎてあまり直視することが出来なかった。
だけど今はしっかりと彼の瞳を捉えて答えた。
すると、彼の手が私の顎をくいっと上げた。
「お前を愛してる。だから僕の側にいてくれ。」
そう囁くと、彼の唇が私の唇に重なった。
彼の熱が伝わって、溶けてしまいそう。
顔が離れると、彼はぽそりと呟いた。
「名前で呼んではくれないのか?」
「え?」
「玲央や小太郎たちのことは名前だろう。」
…ちょっと妬いてたのかな。
「征十郎?」
いつもポーカーフェイスの彼が少し顔を赤くして、口許を緩めた。
こんな顔見られるのは、私だけ。