第14章 Hot Spring*誠凛*
<日向>
「…日向先輩見てましたか?」
「う…ん。しっかり前の方にいたわ。」
言いにくそうにリコ先輩が答える。
やっぱり興味あるんだな。
頭では理解していても、納得できるほど私は大人ではなかった。
温泉を出て、部屋に戻る途中で順平と伊月先輩を見掛けた。
いつもなら嬉しくて話し掛けるけど、今はそんな気持ちになれない。
足を止め、来た道をまた戻った。
こんなことで嫉妬してしまう私は本当に子どもだと思う。
でも今彼と話したら感情的になってしまう。
「名前!」
ぐっと腕を引かれる感覚。
振り向くと大好きな人。
順平だ。