第14章 Hot Spring*誠凛*
WCを12月に控える中、誠凛高校バスケ部は温泉でつかの間
の休息をとっていた。
「…なーんか、男湯が騒がしいわね。」
脱衣場で隣のリコ先輩が何かを察知したようだ。
「名前ちゃん、ちょっと待ってて。」
そう告げると、リコ先輩は脱衣場から足早に出た。
その数分後、男湯から聞き覚えがある男たちの悲鳴が聞こえてきた。
リコ先輩が溜め息をつきながら戻ってきた。
「あの…どうでしたか?」
恐る恐る呆れた様子の彼女に尋ねてみた。
「全く…。あいつら女湯覗いてたわ。二度とそんな気が起こらないようにしてあげたけど。」
ちょっとした恐怖を感じつつ、私の胸中は複雑だった。
まぁ年頃の男の子だし、そういうことに興味があるのは致し方ない。
(部室から女教師ものが出てきたりするし)
でも、私がいるのにな…。
そんなことを考えていたら、自然と表情に影を落としていたらしい。
一緒に温泉に浸かるリコ先輩が顔を覗きこんで声をかけてくれた。
「…覗いてたこと気になってるでしょ。」