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黒子のバスケ*Short Stories

第13章 KissHug*木吉*


「…っ。よか…った。」

ここまでずっと冷静に、そして気丈に俺を支えてくれた名前。

ぽろぽろ、ぽろぽろと澄んだ目から涙が溢れている。

泣くほどに自分を心配してくれていて、そして自分のことのように喜んでくれている人がいるなんて。

「まだ、完全に治った訳じゃないぞ?」

「だけど嬉しい…。うー…止まらない。」

手で彼女の頭をゆっくりと撫でてやる。

しばらくすると、落ち着いてきたようで少し赤くなった目を閉じて腕を背中に回してきた。

「名前、誕生日おめでとう。これくらいしかしてやれなくてごめんな。」

「ううん。最高のプレゼントだよ。鉄平に抱き締めてもらえてるんだもん。」

辺りを見回すと、人の気配はない。

「名前、ここ病院だけどキスしていいか?」

真面目にそう尋ねると、彼女は今度は顔を真っ赤にした。

「…!!何でそんなこと聞くの!?」

「だって病室は嫌って言ってただろ?」

「そうだけど…。…もう。…お願いします。」

俯いていても耳まで赤くなっているので、恥ずかしがっているのがよく見える。

彼女の顎を持ち上げ、少し屈んで、唇にも温もりが伝わった。

言葉はないが、お互いを想う気持ちはしっかりと伝わってくる。

「鉄平、だいすきだよ。」

唇が離れた時、彼女はそっと囁いた。
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