第1章 01
「漫才してるとこ悪いんだけどよ、みんな見てんぜ」
「漫才してねーし、見せもんでもねぇよい!」
「でも見るだろ。ンなもん出されたら」
指摘されて、初めてマルコは自分の格好に気付いた。
いつも羽織っている紫色のシャツ。今日に限って前を閉めている、なんてことはなく大きな胸が丸見えだ。もちろん、雑誌でよく使わらる、星形の部分も含めてな。
マルコは顔を真っ赤にすると、慌てて前を隠して食堂から出て行った。かと思えばバタバタと大きな足音立てて、戻って来る。そしてハナの首根っこを引っ掴むと、嫌がる彼女を無視して、再度食堂から出て行ったのだった。
(((ハナの奴、とうぶんの間缶詰だな。馬鹿な奴。)))
食堂にいた誰もが、呆れた目でそう思ったのは、言うまでもない。