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クレイジー・ラビット〜変態と天才は紙一重〜

第1章 01


 こくん。マルコの喉が動いて、カップが机に置かれる。中身はもちろん空で、マルコは口の端に付いた液体を、ペロリと舐めとる。その姿に、別段変化はない。
「普通、だな……」
「そうだねぇ……」
「ハナ、もしかして失敗か⁉︎」
「失敗?……おい、こらハナ!また変なモン飲ませたな」
「変なモンじゃありませんー。貴重なお薬ですー」
「だぁ、もう!やっぱり‼︎今回はどん……」
 ピタリ、と。怒っていたマルコの動きが止まる。もぞもぞしだすマルコを不思議に思い見つめると、あらまぁ。胸にある海賊マークが膨らみ出し、ハナは小さくガッツポーズをした。どうやら今回は、男を女にする薬だったようだ。……よかったな、エース。飲まなくて。
「ほら、見て、エース!大成功‼︎」
「大成功‼︎じゃねェよい、どアホ‼︎」
「痛い痛い痛い痛い‼︎‼︎」
 マルコに手によってハナの両こめかみが、ミシミシと嫌な音を立てる。ハナは半泣きになりながら、マルコの手を振り解くと、ずれた眼鏡を直して厚手のノートを取り出した。何かぼやきながらスラスラとペンを走らせる姿は、きっと今回の薬の結果を書いているんだろう。案の定マルコに「書いてんじゃねェよい!」と脳天にチョップを落とされている。それでもめげないのが、ハナのいいところだ。
 可哀想なことに男から女になったマルコを、俺はマジマジと見つめた。筋肉質な体は女独特の丸みを帯び、肌も髪も男の時より艶を持っている気がする。1番気になるのはやはり胸だ。貧乳はステータスと言うが、俺はやはり巨乳がいい。今のマルコの胸は、大変俺の好みだ。そんなことを考えながら、ギャイギャイ言い合いを続けるおしどり夫婦に声をかけた。
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