第6章 茶番な時間
食後、私は彼らに誘われて娯楽室へ来ていた。
錦戸「こちらへおかけ下さい」
私を連れて来た錦戸は、
わざとらしく近寄りながら椅子を引き、
首筋の香りをさりげなく堪能していた。
その姿を、横山は不機嫌そうに見ていた。
横山「....」
丸山は震える唇から氷の吐息を漏らしながら、
なんとか一緒に立っていた。
その丸山を心配しながら
安田「マル、大丈夫やから、
みんなおるから落ち着いて....」
横に立ちながら安田は声をかけていた。
大倉「.....」
大倉は、静かに私の後ろ姿を黙って見つめ続けていた。
渋谷「横、雛が準備出来たって...」
小声で、渋谷が横山に合図をするように目配せした。
その言葉と同時に横山が動きだした。
横山「我々の細やかなプレゼントでございます。
どうぞ、お楽しみ下さい」
と私の横に来て言葉をかけた。
その瞬間、
いつ移動したのか、
村上は古びたピアノの前に座ると、演奏を始めた。
突然のサプライズに、私の心は踊っていた。
彼らに対する、不信感も消えていて、
この楽しい時間を、心から楽しんでいたのだった。
その様子を見ながら
錦戸「この茶番は必要なん?」
イライラしなから、錦戸は吐き捨てた。
安田「たまに横山くんの考えてる事はわからんよね」
安田も呆れながら言った。
渋谷「まぁ、横を信じよう」
二人の言葉を聞きながら、
静かに獲物を見つめ渋谷は言った。
横山「この後、狩りを始める」
横山は静かにのべて笑った。
大倉「憎悪と恐怖が、美味しい血になる...」
発言に躊躇いつつ、大倉は静かに目を伏せた。
渋谷「でも、ロザリオを、どうにかせんとな…」
困った顔で、渋谷は言う。
大倉「……僕の命失っても、あのロザリオを何とかするよ」
大倉が決意を口にした。
その言葉を横山は聞くと大倉の肩を軽く叩き
横山「大倉、大丈夫や、誰も犠牲にせんよ。
終わったら女を部屋に戻すんや、ええな」
横山の言葉に、みんなは動揺した。
横山「俺を信じろ」
横山の自信に満ちた微笑みに、みなは無言で頷いた。