第14章 番外編1 束縛な彼氏
後ろから抱きついてきた及川さんの唇がブラウスの間からから首筋をなぞる。
「あの、ホントにあの人は、」
「そんなのどうでもいいよ!」
ブラウスの襟を左右に強く引っ張られる。
プチッ。
「あっ」
留めてた第一ボタンが弾けてどこかへ飛んでいく。
肩下までブラウスをずり下した及川さんの力が強くて、身体がきしみそうになる。
「おいか、……痛、い……」
首にキュッと小さな痛みが走る。
「……っ!」
何度も首から肩をカプッと噛まれては、強く吸われる。
「……っん……」
絶対、跡ついてる。
ワザとだ。
「だ、め……そんなとこ跡ついたら……」
「わかるようにつけてるの!」
やみくもに唇で肩口を嬲られる。
チュッ、チュッ。
静かな部室に響く音に、身体の芯が反応を始める。
久しぶりの及川さんの肌の感触。
頬に触れる及川さんの髪。
まだ汗ばんだような匂い。
「この、匂い、好きです……」
「なんの、匂い?」
「及川さんの、匂い」
「ごめんっ!」
我に返ったように、及川さんが身体を離す。
「そうだった、俺バスタオル取りに来たんだった。シャワー浴びようとしたらバスタオル忘れて、そしたら君があのヒゲちょこに襲われそうになってて……」
「……襲われてません」
「いや、もう少し俺が来るの遅かったら、襲われてたし!」
ドンっと足を踏みならす姿が、なんか可愛い。
「てか、俺シャワー浴びてこないと。ホント、ごめん、俺めちゃくちゃ匂ってた?」
「それが、いい……」
「……え?」
ロッカーからバスタオルを取り出す及川さんの手をつかむ。
「行かないで……ください」
及川さんの胸に顔をうずめる。
すん、と鼻で及川さんの匂いを吸い込む。
汗と、及川さんの匂い。もっと触れたい。
「この匂い、好きだから……シャワー浴びないで……」
肩に頭を預けると、手で顎を救われた。
「そんなセリフ、どこで覚えてきたの?」
少し問い詰めるような視線。
「俺の匂い、好き?」
「……好き」
「じゃあ、これは?」
はむっ、と唇を軽く噛んで舐められた。