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【R18】【ハイキュー!!】 ドSな彼氏

第10章 番外編 岩泉一side



「さっきのメガネの子さぁ……」

「またその話か、くどい」

「だって岩ちゃんが何にも教えてくれないからじゃん」

「教えることなんて何もないって言っただろうがっ」

2年になった春。

1つ下の幼馴染が入学してきた。

幼稚園時代から3軒隣に住むそいつは、昔から本ばっかり読んでるヤツだった。

彼女と喋っているところを偶然及川が見ていた。

「あの子、可愛いよね」

及川徹が簡単に口にする日常の一言。

社交辞令のような、聞き飽きたセリフ。

なのに、この時ばかりはギクリとした。

「おまえの可愛いは基準低いんだよっ」

「そんなことないって。俺の目はたしかだよ」

「誰彼かまわず可愛い、可愛い連呼するのヤツの目なんか信用できるか」

「岩ちゃんよりは俺の目の方が信用できると思うけど~」

「あぁっ!?」

「だって、岩ちゃん、彼女いない歴……もう2年だったっけ……?」

よく覚えてやがる。

「てめぇみたいに毎月彼女が変わるヤツに言われたくねえ」

「またまた、羨ましいくせにぃ」

ヘラヘラ笑う端正な顔立ちは、嫌味がないから余計ムカつく。

「つか、さっきのヤツに間違ってもちょっかい出すんじゃねェぞ」

「あれ、あの子なにか特別な子なの?」

「別にそんなんじゃねぇよ」

「じゃあいいじゃん」

「ダメだ」

「なんで」

「うるせぇっ」

これで話は終わりだとばかりに部室に入ると、バサバサと着替え始める。

「何怒ってんのさ~」

ロッカーが隣同士なのが、こういう時は面倒くさい。

「怒ってねえっ」

別に、怒ってなどいない。

ただ、これ以上、何も訊かれたくなかった。

何も話したくなかった。

及川に、あいつのことを知って欲しくなかった……。



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