第9章 幼なじみに惑わされて‥‥‥
「おい、どうした?」
「え……どうしたって、なにが?」
「なんかおまえ、顔、赤い……」
近づいてきた手が頬に触れる。
「ほら、熱い」
「な、なんでもない、ちょっと……」
ちょっと、一人でヤラシイこと考えてたなんで、絶対言えない。
悟られたくない。
「大丈夫か……?」
なんかいつもと違う視線を感じた。
居心地悪い。
「スカート、めくれてるけど」
「……っ!」
はじめちゃんは屈むと、まくれたスカートを直してくれる。
太ももにさらりと手が触れた気がしたけど……気のせい?
「おい、もしかして今、なにかしてたか?」
「なにか、って……何?」
「おまえ、いつもと違う……」
「違うって……なに……?」
「なんか色っぽい」
いきなり抱き寄せられた。
「……っ!」
苦しいぐらい強い力で、抱きしめられる。
「ちょ……っ、はじめちゃんっ?」
身体をねじってもがくと、逆にさらに強く抱きしめてくる。
「はじめちゃん、離してっ!」
「やっぱダメだ……」
何が?
「ずっとおまえが好きだった……やっぱあいつにはわたせない」
ドンと身体を壁に押し付けられた。
切羽詰まったような顔に見つめられる。こんなはじめちゃん、見たことない……怖い……
逃げなきゃ。
そう直感が叫んでる。
咄嗟に屈んで、はじめちゃんと壁の間を這い出ようとしたら、
「きゃっ……やぁっ……」
足首を掴まれて、そのまま床に押し倒された。
「そんなに及川がいいのか?」
違う、そんなんじゃない。
「はじめちゃん、違う……はじめちゃんと及川さんは……」
「俺は兄貴で、あいつは彼氏ってか」
怯えながらも頷くと、ぎゅっとはじめちゃんの顔が歪んだ。
「俺は、ずっとおまえのことどうにかしたいって思ってた……及川がお前に目をつける前から、ずっと」