第4章 宮崎健治〜喫茶店〜
ふと視線を上げると、前に座っている見知らぬ女性と目があった。
美しい顔立ちであった。
長いまつげ、黒い艶のある髪、大きな黒い目、そして血色の良い頬。
化粧も濃くなくとても清楚な女性だ。
宮崎は自分でも驚くほどその女性を見つめていた。女性はそんな宮崎に微笑んだ。
頰が一気に高揚するのを感じた。
こんな気持ちは何年ぶりだろうか。急いで会釈をし目線を逸らした。
自分は男子中学生かと呆れかえる。残りのコーヒーを飲み干し宮崎は立ち上がった。コーヒーカップを返却口に返す。その間もずっと心臓がありえない速さで動いていた。