第4章 宮崎健治〜喫茶店〜
宮崎は最寄りの喫茶店に入ってコーヒーを頼んだ。昼時で人が多く従業員は忙しそうだ。
待っている間、宮崎は店内を見回してみた。
大体はサラリーマンが多く、皆一人か二人で座り、店のサンドイッチを頬張っていた。
『お待たせしました、ブランドコーヒーのMサイズです。』
従業員の声につられてコーヒーに目を移す。
『300円になります。』
宮崎は茶色い皮の財布から千円札取り出し、手渡した。
『おつりの700円です。』
冷たい硬貨を手のひらに置かれる。思わず身震いしそうになった。それはそうだ。今は12月下旬、外は真っ白な雪が降っている。
『ありがとう。』
そう言い、硬貨を財布に入れコーヒーを持ち上げた。座る場所を探し、やっと見つけて一人用の机と椅子に腰を下ろす。
小さく息を吐きコーヒーを見た。温かそうな湯気が出ている。
ズッ…と一口飲んだ。
安い缶コーヒーとは違うコクのある苦味。冷え切った体に染み渡る。鼻に抜けるコーヒーの香ばしい匂いがどうにもたまらない。