第1章 お仕置き?
「あ!七瀬せんぱぁい!」
中谷は四季を解放し、四季は七瀬に抱き付いた。
「…中谷君、タクシー呼んでもらっていいですか?」
「お、おう!すぐ電話する」
四季は何が楽しいのか笑いながら七瀬に話し出した。
「七瀬先輩、さっき皆でうぃすきー飲んだんですよ、しかも私が一番飲めたんです!」
「そう…それは良かったねぇ」
いつもと同じ優しい笑顔…のはずだが、周りに怒りの炎があるのが他の皆には分かっていた。
しかし、一番近くで屈託なく笑う恋人は酔いのせいなのか全く気付いてはいなかった。
「な…七瀬、すぐ来るらしいから、公園の入口辺りで待っててくれって…」
「ありがとうございます」
「いや…これくらいしか出来ないから」
はは…と乾いた笑いが中谷から漏れた。
「あなたには…早くお礼をしないとですね。
まぁ…今日はこの子のお仕置きが先…ですが…」
隣を過ぎ去る際に呟いた七瀬の一言に、中谷は心底自分の不幸を呪ったのであった。