第20章 従兄姉の凄さ
梢は机の引き出しから一冊のノートを取り出すと、私に差し出した。
梢
「私のは、そこらのマネのより大分詳しいのですよ〜」
私は、それを手に取り開いた。
暦
「!ハァ⁉︎なにこれ⁉︎」
ノートに書かれていたのは、試合中の球の行方…攻防の結果が全て記録されていた。
この人がサーブで打った球は、この人にレシーブされて、この人にトス上げされて、この人に打たれ、この人とこの人にブロックされ、こっちのコートに落ちた。
と、両チーム点数分の…文字通り“サーブからボールが落ちるまでの全て”の記録…
更に、その試合に出ていた選手の特徴とプレースタイルまで書かれていた。
暦
「こ、こんなの…どうやって…」
梢
「私、手元見ずに字を書くのが得意なのね。だから試合の時、ボールから目を離さずにメモを取り続けるの。それを纏めれば試合の記録完了☆」
開いた口が塞がらないって、今の私を言うのかな…
梢
「現役マネ時には、烏養監督によく褒められてたんだよね〜。どうどう?私ったら凄いっしょ!」
暦
「…凄過ぎて信じられない」
これ、スカウティングにはビデオとかより役立つんじゃない?
本当に凄い…梢にこんな技術があったなんて…