第51章 大切なもの
〜暦 side〜
何度も深呼吸をして、何度も覚悟を決めて…繰り返して、漸く私は、チカの携帯に電話をかけた。
繋がって、コールの音が耳に鳴る。
スマホを持ってる左手が震えるから、その手首を右手で握り締めて…それでも怖いから目を閉じて…
暦
「!」
通話が始まった。
《もしもし、藤堂千可の携帯ですが?》
暦
「⁉︎え…」
この声は…
暦
「ゆ、ユキ?」
ユキ
《…暦⁉︎》
暦
「どうしてユキが…」
ユキ
《ええ⁉︎暦、携帯買ってたの⁉︎いつ⁉︎…って、なら何で一昨日教えてくれなかったのよ‼︎》
暦
「電話口で怒鳴らないで!」
予想して無かったユキの声に、張り詰めてた緊張が消えた。