第50章 失いたくないもの
暦
「な、何…翔陽?」
日向
「暦、職員室から出て来たけど!何の用だった⁉︎」
何でそんな事…何で今…
暦
「提出物出しに行ったんだよ…ほら、昨日休んじゃったから」
日向
「それだけ?」
ジッと、翔陽の目が私の目を捉える。
暦
「う、うん…どうしたの?なんか変だよ、翔陽…」
試合中とかに時々見せてた、少し怖いくらいに真剣な瞳…
…もしかして…
暦
「何か…気になる事があるの?」
翔陽は…気付いてる?
日向
「…何でもない…」
一瞬瞳を揺らして、翔陽は目を逸らした。
日向
「ごめん暦…俺、変な事聞いて…」
翔陽の手が離れ、私の両肩の重みが無くなる。