第9章 W・C
第4Q
8:41の時点で秀徳が14点ビハインド。
ハーフタイムまで同点だったはずが点差は開いていくばかりだった。むしろ、今は全く歯が立たない。
6:02
71対51でとうとう20点差まで突き放されてしまった。
残り6分、勝負はほぼ決まったと思われた。が、
「とっておきを見せてやる」
倒れていた緑間も、そう言うと立ち上がった。
高尾も自信を取り戻したように笑っていた。
心結は思い出す。
ずっと緑間と高尾は夜になっても居残りで練習していたことを。
『このままでは勝てない』
そう言って始めた練習に驚いた。
「えっ……!?」
緑間はボールを持たないまま、シュート体勢に入った。
そしてそのまま飛ぶと、高尾は横から緑間に向けてパスを出す。出されたパスはドンピシャで緑間の左手にハマった。
空中で受け取ったボールをゴール目掛けて3Pラインからシュートする。
見事にボールはリングをかすることなく吸い込まれていった。
「空中でとってそのまま3!?」
今のシュートは簡単に言えば、アリウープで3Pを決めたということになる。
その場は騒然とした。
少なからず、赤司も目を丸くしている。
あの位置から空中で3Pを決める緑間ももちろんすごいが、その位置にドンピシャでボールを出す高尾のパスワークにも驚く。
まさか、本番でモノにするなんて。
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「………空中で3をうつ。」
「「……は???」」
ある日の居残り練習、緑間が突然に言った。
「だから、空中で3をうつと言っているのだよ」
訳のわからない言葉に、高尾と心結は眉を顰めた。
「どーゆーことだよ?」
「簡単に言えば、アリウープで3をうつということだ。不可能ではないのだよ」
緑間が提案したのは空中でパスをもらい3Pをうつという事だった。
今まで通り、普通に3Pをうっているだけでは勝てない、そう踏んだのだ。
でもそれを可能にするには、相当の練習をしなければならない。何より、シュートをうつ緑間、パスを出す高尾の息がピッタリあわなければ本番では使えない。