第9章 W・C
「マンツーマンでってことか?」
「そうです。あくまで予想ですが。」
「でも体格差でいうと明らかに赤司のほうが不利だろ。なのになんで」
「………詳しくは分かりませんが、その可能性もあるということです。」
緑間の目の色が変わった。
それを察してか、その場の空気も重くなった気がした。
高尾も黙り込んでいる。
「いつも何か企んでいるのだよ、アイツは」
嫌な予感は増すばかりだった。
10分のインターバルが終わり試合は第3Q、後半戦に突入した。
まずは秀徳ボール、緑間がボールを手にすると、
「緑間にマンツーマン!?」
緑間の予想通り、開始早々赤司は緑間にマンツーマン。
予想はしていたが、実際半端ないほどの威圧感に、滅多に焦った顔を見せない緑間にも焦りの色が出ていた。
「…やはりな、そうくると思っていたのだよ」
「来い、真太郎」
「赤司対緑間………!!」
ボールを持っていた緑間はノーフェイクでそのままシュート体制に入る。タイミングは完璧だった。
体格差的にも赤司のほうが不利だと、その場にいた誰もが思っていたのだが。
「!!!」
赤司は、緑間が飛ぶ前に持っていたボールをカットした。
「…うそだろ、反応が早すぎる…」
唖然とした。
反応が早すぎる。
赤司は緑間からボールを奪うと、そのまま一気にカウンターで陣地に攻め込んだ。
抜かすまいとする高尾を一瞬で切り返す。
「頭が高いぞ」
赤司が放ったボールは秀徳ゴールに向かって一直線。
第3Qが終わった。