第9章 W・C
「それではこれよりWC準決勝第一試合、洛山高校対秀徳高校の試合を始めます。礼!!」
「よろしくお願いします!!」
PM.2:35。
大歓声と共に試合開始。
最初にボールを掴んだのは高尾だった。
シュートすると見せかけ、すぐさま緑間にボールをまわす。ボールを持った緑間は、洛山のゴール目掛けてシュートを放った。
放たれたボールは弧を描き、リングに触れることなく一直線。
試合開始からわずか7秒のことだった。
「来い赤司
約束通り教えてやる。敗北を」
「へぇ……」
開始直後の先制攻撃を見ても、赤司は微動だにしない。それどころか楽しそうだ。
なんともいえず嫌な感じがした。
その後第1Q、第2Qが終了しても試合の流れはそう変わらなかった。
今の時点で同点。確かに洛山は選手全員のスキルはこの上ないほど高い。でも手が出ないほどでは決してない。
残り後半、どうゲームを進めていけばいいのだろう。
「……丸々前半、様子見といった感じなのだよ」
前半が終わった10分間のインターバル中、緑間が呟いた。
「赤司はまだ、本気を出していない」
今までインターバルをまたいだと言っても、わずか2分。5人の息はそうとう上がっていた。
「想像通りキツイな……」
「赤司だけじゃなくて、あと四人も相当だぞ……」
洛山のベンチを見ると、赤司は涼しい顔をしている。
『赤司はまだ本気を出していない』
緑間が言ったその言葉は本当なのだろう。
だが、それは一体どういう意味なのだろうか。
「……第3Qからきっと、赤司はオレにマークをつく。」
「マンツーマン……?」
緑間はスクイブボトルに口をつけたあと言った。