第8章 それはきっと、
「だからちょっと好きって気持ちとは違うかな!…多分。」
「そっかぁ……」
「憧れってカタチに近いかも!」
そう言って心結は上に伸びをした。
頭も体もスッキリする。
「でもやっぱり、和成のこと好きなら早く告白したほうがいいよ~アイツもバスケ馬鹿だからさ~」
夢はコクリと頷くと最後の一口を飲み干した。
「そろそろ行こっか」
「うん!」
立ち上がると会計を済まし外に出た。
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季節はあっという間に進む。
もうすぐでWC出場の切符をかけた東京都予選だった。
厳しく辛い練習を経て、いつものように秀徳は順調に勝ち進んでいった。
そして勝ち進んだ末、相手はI.H予選で敗北した誠凛高校。互いに一歩も譲らず、結果は引き分けに終わった。
だがその後の試合では秀徳も誠凛も順調に勝ち進んでいき、見事WC出場の切符を手に入れたのだった。
「WC出場、おめでとう!」
「イェーイ!」
高尾は嬉しそうにピースして見せる。
「…WC出場が決まったのはいいが、誠凛相手に勝てなかったのが心残りなのだよ」
「まぁまぁ、そこは忘れて本番頑張ろーぜ」
「二人とも凄かったよ。どんどん息があってく!」
「オレと真ちゃんの愛のチカラってやつ?きゃ♡」
「うざいのだよ、高尾」
「真ちゃんひどい」
1人泣きそうになっている高尾。
すると、高尾の脚が赤く腫れていることに気付いた。
「和成、脚腫れてるよ」
「あぁ、さっきひねったんだ。大したことねーから大丈夫!」
「WC近いのに何言ってんの!ほら、冷やすから来て!真ちゃん待ってて!」
そう言うと、心結は高尾を連れて水道にやってきた。蛇口をひねると冷たい水が絶え間なく流れてくる。
「ちゃんと冷やさないとダメでしょ。湿布持ってくるから待ってて!」
「…ああ」
部活用の救急箱から湿布を取り出し、水道に戻ってくると、高尾は大人しくひねったところを水で冷やしていた。
「脚見せて。」
「いや、自分でやるからいいって、」
「選手の世話もマネージャーの仕事!いいから大人しくしてて!」
心結に一喝されて渋々大人しくなる高尾。