第7章 鷹の目
今から二年前。
中学2年生のときだった。
オレは中学校からの帰り道、部活が終わってからもこの公園に立ち寄ってバスケをしたり、体を動かしてから帰るのが日課だった。
勉強よりも何よりもバスケに夢中で、授業中も上の空。
それでもバスケさえあればよかったのだ。
「和成!」
バスケに夢中になっている高尾の名前を呼ぶ。
夢中になりすぎて気付いていないみたいだ。
「かーずーなーり!」
何度名前を呼んでも気付かないことに痺れを切らして心結はドリブルしている高尾のボールを後ろからカットした。
「うわぁ!なんだよびっくりしたな!」
「何回呼んでも気付かないからよ!まったく!」
「あー、わりぃ全然気が付かなかった」
心結は足元に転がっていたボールを拾い上げてドリブルし始める。
「和成のお母さんから電話があってね、そろそろ帰ってきてって」
「おー、じゃあ1on1したら帰ろーぜ!」
「わたしが勝てるはずないでしょ!ほら、帰るよ!」
そう言われると、高尾は渋々荷物を持って歩き始めた。
「そういえば、お前の母さんて今度いつ帰ってくんの?」
「んー…今すごい忙しくていつ帰ってこれるかわからないんだって。」
「……そっか」
「ごめんね、いつもお世話になっちゃって」
「いやいや、お前がいた方が母さんも妹ちゃんも嬉しそうだし全然いいって」
「…ありがとね、いつも」