第7章 鷹の目
おは朝占いは実によく当たる。
その日の運勢が悪くても、ラッキーアイテムを持っていればオレの運勢は補正される。
だからいつもオレはラッキーアイテムを持っていた。
「何あれ?」
「ラッキーアイテムだってよ笑」
笑われても関係なかった。何を言われても特に気にしない。
勉強の息抜きでバスケを始めて、帝光中学に入学しバスケ部に入部。キセキの世代なんて呼ばれもてはやされてメンバーとも出会った。それぞれが誰にも真似できない才能を持っている。
ラッキーアイテムを不思議がりながらも本気で馬鹿にしてくる奴はいなかった。それを考えれば周りの環境にも恵まれたのかもしれないが、まったく。言いたいことは山ほどあるのだよ。
全中の試合で3連覇した頃から皆変わった。勝利に貪欲になり、誰もメンバーに頼ろうとしない。それはオレも同じだった。
そのまま帝光を卒業して、それぞれが違う高校に入学しても、それは変わらないと思った。何よりも勝つことが大事だと勘違いしていた。
秀徳に入学して、高尾に出会い心結に出会い、先輩と出会ってバスケをしているうちに見方が変わった。
勝てない相手がいると知って、勝ちたいという気持ちが生まれさらに努力するようになり、仲間に頼るということも知った。
反対に、今はその方が心地良いとさえ思っている。
アイツらはオレが変わった奴だと言いながらも嫌がることも笑うこともなくなぜかいつも一緒にいた。
こんなことは言いたくないが、仲間に頼るということも悪くない、と思わせてくれた。
『むしろわたしは、緑間くんのそういうところが好きなの。きっと和成もそうだよ。』
『だから笑って!』
もう日は沈み始めて空には星が出ている。
そう言って笑った心結を見て、変な気持ちになった。今までに感じたことのない感情だ。
なんなのだよ、これは。バスケをしている時とは少し違う。
オレはこれがなんなのか、分からないままだった。