第7章 鷹の目
「……一つ、聞いてもいいか」
「ん?なに?」
心結は緑間を見上げて首をかしげた。
「…お前は、いつもオレといて嫌にならないのか?」
質問の意味が分からず、さらに顔に?マークを浮かべる。
「どういうこと?」
「…いつもラッキーアイテムを持っていたり、バスケをするときもチームプレーなんて無視だった。オレは気にしてないが、オレといることでお前たちに迷惑がかかっていないか心配なのだよ。」
緑間は俯いたまま顔をあげようとしない。
心結はバシッと強く緑間の背中を叩いた。
「な、何を、」
「何言ってんの、ほんと意味わかんない。」
「……?」
「ずっとそんなこと考えてたの?わたしも和成も、一緒にいたいから緑間くんといるんだよ。確かに、なんで緑間くんと仲良しなの?って言われることもあるし、最初は全中のこともあって嫌だなって思ってたけど、今はそんなこと思ってないよ」
緑間は何も答えない。
「緑間くん!」
心結は緑間の前に立ち制服の袖を掴んだ。
「変なのって言われるかもしれないけど、むしろわたしは緑間くんのそこが好きなの。和成もきっとそうだよ。だからもうそんな馬鹿みたいなこと聞かないでね。それにわたしも和成も自分から好んで緑間くんと一緒にいるわけだし。一緒にいたいからいるの!」
そう言って心結はにっこり微笑んだ。
「だから笑って!真ちゃん!」
緑間は驚いたように目を見開くと、微かに口元を緩ませた。
「……ありがとう。」
「もう!いきなりなんなのかと思った!」
「…すまないのだよ。」
「真ちゃんも弱気になることなんてあるんだね」
「誰だってあるのだよ。それと、その名前で呼ぶな。」
「和成が呼んでるからついつい。これから真ちゃんて呼ぼ~」
「やめるのだよ!」
その時の緑間は心なしか笑っているように見えた。