第7章 鷹の目
「和成も緑間くんもお疲れ様!」
心結はそう言って二人にスポーツドリンクを手渡した。
「サンキュー」
「ありがとう」
高尾はタオルで汗を拭った。
体育館を出ようとバッシュの紐を解くと、
「あ、オレ用事があるから今日は帰るわ!ごめん!」
足早に体育館を出ていった。
「緑間くんは?練習するなら付き合うよ?」
「オレも今日はあまり運がよくない日なのだよ。だから今日は30本うったら帰る。」
「今日のラッキーナンバー30だもんね」
緑間は一口スポーツドリンクを飲むと再度立ち上がり籠からボールを取り出しシュートをうち始めた。
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「もうすっかり秋だね。日が短くなった」
「もう少し涼しくなってくれた方がいいのだよ。」
二人はゆっくり並んで歩く。
「そういえば、二人で帰るのって初めてじゃない?いつも和成がいたから」
「そうだな。」
「それにしても、ほんと緑間くん背大きいね、見上げちゃうよ」
「お前が小さいだけなのだよ」
「わたしだってそんな小さいわけじゃないもん普通だもん!緑間くんが大きいの!」
そう言って心結は緑間の頭を触ろうとする。が、届かない。
それを見て緑間は心結の頭をポンポンと叩いた。
しばらく間があいて、心結が先に口を開いた。
「………緑間くんさ、前に『オレは楽しい楽しくないでバスケをやっているのではない』って言ってたけど今もそうなの?」
「………勝ちたいと思うのは今も変わらないし、自分が点を取らなければいけないといつも思っている。…だが秀徳に入って、頼ることも苦ではないと感じるようになった。よく分からないが、今はその方が心地良いのだよ。」
「その台詞今度和成に言ってあげなよ。きっと調子乗るよ」
「絶対に言わないのだよ」