第6章 此処から
「…すごいおっきいね」
「緑間くんがとってくれたの!緑間くん輪投げすごいの!全部棒の中に入って一回もはずさなかったんだよ!」
「はずすはずがないだろう」
「真ちゃんドヤ顔やめて」
緑間と心結が抱えている袋には大きなぬいぐるみが入っていた。これはすべて緑間が輪投げでとったものだ。
「っつーか花火!始まるぜ!」
四人は花火の見える場所まで急いだ。
少し小高くなっている丘が絶景ポイントらしい。そこはもう既に人で溢れ返っていた。
少しでも気を抜けば人の波に流されてしまいそう。
「みんなはぐれんなよー」
その場について間もなく。
大歓声とともに花火が打ち上がった。
「わー…綺麗…」
夢は不意に横を向くと、花火に見とれている高尾の横顔が見えた。
やっぱり、高尾くんが好き。
そう思う。
夢は今日の出来事を思い出し、心の中で心結にありがとうと呟いた。