第6章 此処から
その頃、残された高尾と夢はペットボトル片手に境内に座り込んでいた。
「行っちゃったなー二人とも」
その場は静まり返っていた。
「いつ戻ってくるんだろーな、花火までには戻ってくるよな?」
高尾の声だけが響く。
「……って、顔真っ赤だけど大丈夫か?」
心配そうに高尾は夢の顔をのぞき込んだ。
驚いて夢は変な声をあげる。
「きゃっ!」
「ごめんな、驚かせて」
「だっ、大丈夫っ!だから!」
夢は手をブンブンと振った。
「…えっと、名前は?心結と同じクラスの子っしょ?」
「はい!えっと!西堂 夢です!」
「西堂サンね!オレ、高尾和成ってんだ!心結の幼馴染み!よろしく!」
高尾はいつものニコニコ笑顔。
その顔を見る度に夢の心臓も脈を打つ。
「あっ、ジュースありがとう。お金渡すね!」
「あーいいよいいよ、オレのおごりってことで!驚かせちゃったし。」
「でも…」
「いいから!気にすんな!」
そう言って高尾は夢に渡されたお金を突き返した。そう言われて夢も渋々諦める。
「…ありがとう。」
「いえいえ!」
しばらく間があくと、高尾は空を見上げながら言った。