第6章 此処から
「……ごめんね、ずっと言えなくて」
「ううん。すごく素敵だと思う!」
「そんなすごいことじゃ…」
「すごいよ!そんな偶然なかなかないと思うよ!相手が和成なのがびっくりだけど、応援するよ!」
「あっありがとうっ」
心結はにっこりと微笑みかけると夢も嬉しそうにはにかんだ。
すると、
「遅くなってわりー!クラスの奴に会って話しててさ!」
ペットボトルを手にした高尾と緑間が戻ってきた。
話題にしていた者のいきなりの登場に、心結と夢はびっくりして声をあげる。
「びっくりしたなー!もう!」
「悪いって!…って、心結のお友達さん顔真っ赤だけど大丈夫?」
今にも爆発しそうなくらい、夢の顔は真っ赤に染まっていた。
「和成がいきなりでっかい声出すから!」
「お前のせいだぞ、高尾」
「えっオレのせい!?ごめん!これ飲んで落ち着いて!」
そう言って高尾は夢にペットボトルを手渡した。手渡す瞬間、微かに高尾と夢の手が触れた。
「~~~~~!!!」
声にならない悲鳴をあげる夢。
さっきよりも一層顔の火照りが増し、もはや茹でだこ状態だ。
「あっ、そうだ緑間くん!さっき輪投げの屋台にかわいいぬいぐるみがあったの!緑間くんなら取れる気がするから来てほしいんだ!行こ!」
そう言うと、心結は少し強引に緑間の手を引っ張った。
「すぐ戻ってくるから、和成と夢はここで待ってて!」
「おい高槻!引っ張るな!」
「…おー」
心結は戸惑う緑間を連れて階段を駆け下りて行った。
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「おい高槻!話を聞くのだよ!」
「…緑間くんごめんね、無理矢理連れてきちゃって」
「大丈夫だが、どうしたのだよいきなり」
「その話、なんでもないんだ」
「なんでもない?」
「…どうしても、和成と夢二人きりにさせてあげたくって…」
「…そうなのか。よく分からないのだよ」
真面目で頭の良い緑間だが、たまに少し抜けているところがある。今はそのおかけで助かった。
「女の子にはいろいろあるの。だから悪いけど、もう少しだけ二人きりにしてあげよ!」