第6章 此処から
「お疲れ様!」
P.M.5:30.
長かった部活を終え、心結は早歩きで自宅へと向かった。
「ちょっと心結さ、歩くの早くね?」
「これからお祭り行くんだよ!?早く帰らなきゃ!」
「そんなに焦ることはないだろう」
「あるの!準備しなきゃ!」
「なんのだよ…」
「浴衣!お祭りに着てくの!」
心結はもうっと頬を膨らませると、
「わたし先帰ってるね!またね!」
一人で先に走って帰ってしまった。
「…浴衣だってさ、」
「面倒なことをするんだな」
「じゃなくてさ、うん。」
「????」
「なんでもない!オレたちも早く帰ろ!」
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風呂で部活の汗を流してから浴衣を着て髪をセットしていたら少しタイムオーバーになってしまった。夢との待ち合わせ場所に急いで行くと、そこには浴衣に身を包んだ夢が立っていた。
「遅れてごめん夢!」
「ううん!大丈夫!お疲れ様!」
夢は心結の姿に気付くと、ヒラヒラと手を振った。
「夢めっちゃ可愛い…!」
「えへへ、ありがとう!心結ちゃんも浴衣似合ってるよ!」
初めて見るお互いの浴衣姿を褒めあいっこしながら二人は神社に向かった。歩いてすぐのそこはもう既にたくさんの人で大いに賑わっている。
焼きそばやかき氷にりんご飴、ヨーヨーにスーパーボールなど、たくさんの出店が所狭しと並んでいた。
例年に比べ、今年は出店の数も人の数も多いのが分かる。
「わぁ、すごい人だね!」
「ほんと、はぐれないようにしなきゃ」
二人はとりあえず片っ端から店を拝見していくことにした。食べたいものも店もたくさんありすぎてどれにするか迷う。