第6章 此処から
「笑ってないよ泣いてるんだよ!」
「そのくらいでなぜ泣くのだよ!」
「まさか真ちゃんがこんなこと言うなんて思ってもみなかったぜ」
緑間は照れ隠しをするようにメガネをクイッと押し上げた。
「ホラッ、さっさと帰るのだよ!」
「待てよ真ちゃーん!」
心結は二人の後を走って追いかけた。
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無事に期末テストも終わり、秀徳高校は夏休みに入った。だが秀徳バスケ部の休みはほとんどなく、毎日部活漬けの日々。さすがに真夏の体育館はサウナのように蒸し暑くて運動するには厳しくなった。
そんな中でも手を抜くことなくバスケをこなし、夏休みもあと一週間となった頃。
『夢!明日お祭り行こ!』
『心結ちゃん明日部活じゃないの?』
部活の帰り道、心結は緑間と高尾の少し後ろを歩きながら親友である夢に電話をかけた。
『部活だから夜になってからしか行けないんだけど、それからでいいなら!夢、お祭り行きたいって言ってたでしょ?』
『言ってたけど…大丈夫なの?』
『うん!最近バスケ漬けで学校しか行ってないからさ~だから大丈夫!行こ!』
『うん!』
明日、心結が住んでいる近くの境内では夏祭りがあった。毎年たくさんの人で賑わい、夜からは打ち上げ花火もある、かなり大規模なものだ。
その祭りに、心結は部活が終わった後に夢と合流する約束になったのだ。
心結は電話をきり、ポケットにしまうと前を歩いている緑間と高尾へ走って歩み寄った。