第17章 もう大丈夫
「少なくともオレはそれを迷惑だなんて思っていない。…むしろ辛いことがあったら、その…オレに頼って欲しいのだよ。
オレたち、つっ付き合っているのだろう?だったら少しくらい…オレに頼ってほしいのだよ」
とても不器用に、とても恥ずかしそうにそう言う緑間を見るとまた泣けてきて、愛しさがこみ上げてきた。
その言葉が嬉しくて、心結は目尻に浮かぶ涙を拭うとぎこちなくぎゅっと緑間に抱き着いた。
「っ!」
「……もう真ちゃん大好き」
抱き着いた瞬間ビクッと身体を震わせる緑間がまた可愛くて、心結はそのまま緑間の胸に顔をうずめた。
すると不器用ながらも抱き締め返してくれて、心結は抱き締める腕にさらに力を込めた。
「…そんな優しいこと言われたらまた泣いちゃうから…っ」
「…泣いていい。オレがいつでも…その、そばにいて、」
最後の部分だけゴニョゴニョと口ごもる緑間に、心結は目線で「?」と問いかけた。
「…周りには明るく振舞っているが、本当は辛いことも寂しい思いもたくさんしただろう。
バスケでも仲間に頼る大切さを教えてくれたのはお前なのだよ。…感謝している。」
「…うんっ」
「…オレは高尾のように素直ではないし、話すのも苦手だ。だがお前には寂しい思いはしてほしくないのだよ。」
「……うんっ」
「これからお前には寂しい思いはさせない。……それだけは覚えていてほしいのだよ…っ」
「…真ちゃんまた顔真っ赤」
自分で言ったにも関わらず、後から恥ずかしさが込み上げてきて緑間は照れ隠しをするようにメガネをくいっと上げた。
「……黙れ」